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野鳥とその他の生き物のかかわり |
生態系(せいたいけい)の中で野鳥は果実(かじつ)をエサにする種類であれば、未消化(みしょうか)の植物の種子(しゅし)を遠くまで運んで行くという植物の種子の分散(ぶんさん)に一役かっています。また、昆虫食の鳥であれば、昆虫が増えすぎて森林を枯らすことがないように昆虫の大発生を押さえるという調整役(ちょうせいやく)をもっています。
自然度の高い森林地域では昆虫類が種類や数とともに多く、それをエサにする小鳥類や爬虫類(はちゅうるい)、両生類(りょうせいるい)なども数多く見られ、多様な自然が息づいています。また、その小鳥類や爬虫類(はちゅうるい)などをエサにする猛禽類(もうきんるい)[ワシタカの仲間]もすみ、全体として複雑にからみあった食うか食われるかの関係、つまり「食物連鎖(しょくもつれんさ)」のつながりが維持(いじ)され、安定した生態系が営(いとな)まれています。ですから、ある地域のどんな種類の野鳥がすんでいるかによって、その環境の状態を知ることができるわけです。普通大型や中型の猛禽類(もうきんるい)のいる環境は自然度が高いとされ、本州ではクマタカやイヌワシのいる環境、夏鳥として飛来(ひらい)してきてヒナを育てるサシバのすむ森林に囲まれた谷間などは自然度が高いとされています。県内ではカンムリワシなどのすむ西表島(いりおもてじま)や石垣島(いしがきじま)などは、比較的県内の他の島に比べて森林面積が広く、また、マングローブ林の広がる河川域などもみられ自然度の高い地域として、北限種であるカンムリワシの生息を可能にしています。したがって、野鳥は自然環境をはかる「モノサシ」としてとらえることができます。
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