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琉球玩具【概要】
 張り子に代表される、既製品の玩具が登場したのは明治以降のこと。といっても、いつでも手に入るものではなく、年に1度、旧暦五月四日のユッカヌヒーにたつ玩具市でのみ売られていました。
 沖縄では旧暦五月五日をグングヮチグニチと言って、中国や日本同様、邪気を払い健康を祈願する日でした。ユッカヌヒーの玩具は、子どもたちにせがまれて買い与えたものではなく、わが子が元気に育つようにとの願いを込めた縁起物でした。

 張り子の技術は17世紀以降に日本から学んだものとされ、もともと首里の上級士族の子女を対象に作られていたものですが、明治になって普及し、庶民の子どもたちの手に届くようになりました。鮮やかに彩色された張り子の玩具に、当時の子どもたちは目を輝かせ、胸をときめかせたに違いありません。
 伝統的な張り子にはタワチーオーラセー(闘鶏)、鯉乗り童子、シーサーグワー(獅子)、ウッチリクブサー(起き上がり小法師)、ホートゥーグワー(鳩)、フトゥキグワーと呼ばれる人形などがあり、どれも可愛らしいものです。  その他、ユッカヌヒーの玩具市にはお面や紙雛なども人気の品でした。
 お面には鬼面、猿面、狐面、天狗面などいろいろあったそうです。時代が少し下ると、張り子より丈夫な陶器製の馬や牛、犬も作られるようになりましたが、それも昭和に入ると本土からの大量生産のセルロイド製やブリキ製のおもちゃにおされ、伝統玩具は廃れていきました。今では、民芸品として愛好家の蒐集物になっています。

 伝統玩具の中で、ひときわ異彩を放っているのはヤカジです。
 紙製で、赤ちゃんの枕元に置く魔除けとして、また、男児の出産祈願にも使われたそうです。一見して中国風のもので、バケツ型の、矢筒を思わせる台座の下部には雌雄の竜の向き合った絵柄が描かれています。台座には、青竜刀・弓・矢・的・槍などの武具が左右対に差し込まれていて、いかにも勇ましいものです。

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