古琉球/統一王朝の成立 6/12

■羽衣伝説

 英祖(えいそ)王統の次の時代をになった察度(さっと)王には、次のような伝説があります。
 浦添に住む奥間大親(おくまウフヤ)という貧しい農民が、森の川で水浴びをしている天女と出会った。奥間大親はとっさに羽衣をかくし、帰れなくなった天女を自分の家へつれ帰った。そののち、二人には一男一女がさずかり、男の子の名を謝名もい(じゃなもい)といった。ある日偶然に羽衣をみつけた母親は、天女となって天上へ帰っていった。
 成人した謝名むいは、その徳をみこまれて勝連按司(かつれんアジ)の娘と結婚した。そこには金塊がいたるところにころがっており、それを使って日本商人から鉄を買い求めて農具をつくり、村の百姓に分けあたえた。村は豊かになり、国中に彼の名声がとどろき、国民の信望を得て国王となった。
 このように、舜天(しゅんてん)や英祖同様、時代を革新する英雄は非凡な運命のもとに生まれるという、貴種誕生の伝説により歴史が彩られています。


森の川


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