■グスクとは何か
沖縄でグスクというと、「城」という字をあてることから一般的に城や砦(とりで)と理解されていますが、実際にはさまざまな形態のグスクが存在し、その本質や語源に関しては現在もさまざまな論議が繰り広げられています。 従来、琉球の歴史を語るうえでひんぱんに使われているグスクは、按司(アジ)とよばれる権力者が居住したお城を指していました。ところが、石垣で囲まれた聖域にグスクの本質をみる「聖域説」や、人々の居住場所を防御するために形成された集落跡が本来のグスクであるとする「集落説」、あるいは語源論の見地から、グスクは単なる石垣であるとか、御宿のなまりであるなど、グスクに対する見解はじつに多様です。 その正体はまだ解明されていないだけに、琉球の歴史に大きな比重を占める、この神秘なる遺構のさらなる研究が待たれます。