先史沖縄/旧石器時代の沖縄 3/4

■山下洞人と港川人

 山下町第一洞穴遺跡は、1962(昭和37)年、那覇港に近い奥武山(おうのやま)の南側にある琉球石灰岩台地で発見されました。この遺跡から出土した化石人骨が山下洞人(やましたどうじん)とよばれるもので、約3万2000年前の、8歳ぐらいの女児と測定されました。
 いっぽう、1967(昭和42)年、沖縄県具志頭村(ぐしかみそん)港川の石切場から、シカやイノシシなどの化石とともに、約7体の化石人骨が発掘されました。
 こうして、発掘場所の地名にちなんで名付けられた港川人(みなとがわじん)は、年代測定の結果、およそ1万7000年前の人類であることが分かりました。頭や手足のそろった完全な旧石器人骨の発見は、日本はおろかアジアでもはじめてのことで、国際的に紹介されました。
 港川人は、北京原人や中国大陸南部の柳江人(りゅうこうじん)に似ているとか、現代沖縄人の遠い祖先であるといわれていますが、港川人のルーツはいまだに謎に包まれたままです。また、港川人が使用した旧石器などがまったく出土してこないため、この時代の生活形態はよく分かっていません。


斧刃状鹿角器


港川人頭骨


港川人復元像



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