信仰と暮らし人々の暮らし
 


【出産】
 沖縄では出産のことをクヮナスンといい、産婦はクヮナサーと呼ばれる。
 出産は嫁ぎ先か実家の裏座で行われ、カッティと呼ばれる経験豊富な老婦が手助けをした。産室の出入り口には、魔除けのしめ縄が張りめぐらされ、天井からは妊婦がすがるチカラヂナ(力綱)が吊るされた。
 難産のときは、火の神(ヒヌカン)を拝んだり、蓋(ふた)をしてある容器の全ての蓋をあけたり、家のなかにあるひもの結び目をすべて解いたりして、母子の無事を祈る風習もあった。
 沖縄本島では、男児が生まれると「大女(ウフイナグ)が生まれた」と言い、女児が生まれると反対に「大男(ウフイキガ)」と言ったという。
 八重山では、男児が生まれるとゾウリを竹に結んで下げ、女児の場合は杓子(しゃくし)などを掲げるしきたりがあった。


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