信仰と暮らし人々の暮らし
 


【命名】
 ナージキと呼ばれる命名の日は、地域差があるものの出産から1週間以内がほとんどであった。名前は祖父母や親戚の名前から取っていたが、ここで付けられる名は、ワラビナー(童名)またはシマ名(シマで通用する名)のことである。
 士族はワラビナー(童名)と唐名(からな)の二つを持っていたが、平民は童名だけであった。しかし、明治になると唐名がなくなり、大和名に統一されていった。
 命名の儀式は、まず庭にミーゾーキーという円形の箕(み)を立て、ヘラの上に乗せたオオバコをそばに置く。次に、カカン(腰まきの一種)をかぶった祖母が赤子を抱き、クワでできた弓矢で家のなかから箕を3回射つ。その後、赤子の上からバッタを飛ばすか、小さいカニをはわせるというものである。
 弓矢は悪を払い、オオバコは力強く健康、カニやバッタは早く歩けるようにという意味だとされる。


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