写真: 沖縄県立博物館 |
日本本土から遠く、独特の自然と文化に彩られた沖縄に生きる人々の暮らしは、東南アジアとの交流が指摘されるように、日本的な文化とは異質の趣があるといえる。
しかし、他県で失われた古い文化が、沖縄に残っているなどの事例からも、現在のように両者が分岐するはるか以前、共通の文化で沖縄も日本本土とつながっていたといえる。沖縄が「日本の原風景」とか「民俗学の宝庫」とよばれるゆえんである。
暖かい黒潮に洗われるサンゴ礁の島に生きる沖縄の人々の暮らしは、恵みをもたらすと同時に過酷な試練を与える自然との共存の歴史でもあった。人々は自給自足の暮らしの中で食糧を得、家を造り、道具を生み出してきた。水に対する信仰も、海に対する畏敬もそこから生まれた。
長年にわたって使い続けてきたさまざまな民具は、私たちの祖先が厳しい自然と戦ってきた歴史を物語るものでもある。そこには、人々の手に代々受け継がれてきた「知恵と工夫」が詰め込まれており、それが、素朴な「ぬくもり」や、時代を越えた美しさを我われに感じさせるのである。
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