それからしばらくして、また王様からペークーに囲碁のさそいが来たって。

そしたらペークーは、一つ碁石(ごいし)を置くたびに、後ずさりをしてはおじぎをしたんだって。

「はい、次はここに置かせていただきます」ペコリ。
「ここに置くと、私がこう置けば、王様は負けてしまいますよ。それでもいいのですか」ペコリ。

そのように、これまでとは違った態度(たいど)をくり返すので、しまいには王様がおこってしまい、

「ええーペークーよ、お前の話し方は、これまでと全然違うではないか。また、どうして碁石をおくたびに、そんなことをするのだ。そんなことではせっかくの囲碁も面白くない」

と言われたので、ペークーは、

「もうしわけありません。実はお側にいるこの方々に、言葉と態度に気をつけるよう言われたものですから、こうしているのです」

と言った。すると王様は、

「それではいけない。お前と私は一番の友だちではないか。前の通りにすればよい」

と言って、側にいる家来たちをその場から下げたって。

 ペークーと王様は、それからは二人っきりで、もとのように友だちとして、囲碁を楽しんだということだよ。

注意した家来たちのことばをうまく利用して、逆に王様から、今までどおりにすれば良いというお許しをもらった「かしこい」渡嘉敷ペークーのお話でした。