那覇市の山下町にある落平樋川(うてぃんだヒ−ジャ−)は、琉球石灰岩とクチャと呼ばれる泥質岩の接合地から湧出する湧水である。 戦後になって、周囲(上方の台地)に住宅(アパ−ト)が建てられてから水は枯れてしまったが、飲料に適していて水量も豊富だったので、戦前までは、那覇や近郊の人々にとって欠くことのできない水源地の一つであった。 また、市街地からも船で水を汲みに来たり、昭和初期頃までは、伝馬船やてんびん棒で水売りをする者もあった。 現在、その面影はなくなっているが、アパ−トを隔てたコンクリ−トの壁に石灰岩で一個の湧出口がつくられている。わずかに湧水が出ているその場所には、「ウティンダ」と記された文字板と一つの香炉が備えられていて、拝みの場所となっている。 03.龍樋(りゅうひ) |