農家にとって、いうまでもなく水は不可欠のものであった。それゆへ、水への関心は人々にとってことさら重要な位置を占めた。農業経営の後進的な地域ほど、この比重は大きくなった。
小さな島々からなる琉球列島は、古くから自然の天候や災害に生活の多くが左右されてきた。特に台風と干ばつは深刻な問題で、自然の驚異に対してさまざまな知恵や工夫が凝らされてきた。 しかし、どんなに人為の限りを尽くしても、自然(降雨)は意のままにならない。 そんなとき、人々は神に祈るしかできなかった。沖縄には多くの豊作祈願の祈りとともに、雨乞いの祈りが各地に残っている。地域の神人(祭祀者)にとっては、それも大事な信仰行事の一つであった。雨乞いの祈りもまた、過酷な環境から生まれた必然的な水への信仰であった。 07.生と死の水1 |