正月元旦に行われる「若水汲み」は、年の初めの新鮮な水で仏壇(神棚)にお茶湯を供えたり、残り水で身を清める(水撫で)習慣である。その水は再生の水、若返りの水であり、沖縄ではそれを、ヘビの脱皮やヒナの孵化を意味する「スティル」という言葉で表わした。穢(けが)れがあると、人々は水撫でによってすてようとしたのである。
元旦以外でも、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日の祭事に先だって、それを司る神女(ノロ)たちが身体を水撫でしたり、祭場を禊(みそ)ぐのも、やがて来訪する神を迎えるための儀式である。 また、お盆の前の七夕(たなばた・現在の織り姫・彦星の伝承とは少し異なる)の日に、墓を掃除したり水や酒を祖先の霊に捧げるのも、常世の世界で祖先に若返ってもらう意味があるとされる。 04.水の信仰3 |