解説
てぃんさぐぬ花(沖縄全域)

 「わらべうたを知っていますか?」と質問すると、ほとんどの人が「てぃんさぐぬ花なら知ってます」と答えます。それほどわらべうたとして一般に知れわたっている有名なうたです。
 ここでは、3番まで歌詞をあげていますが、一般的に歌われる歌詞として次のようなものもあります。

言(い)ち足(た)らん事(くとぅ)や
   一人(ちゅい)たれいだれい
互(たげ)に補(うじ)なてぃる
   年(とぅし)ゃ老(ゆ)ゆる

誰(たる)が上(い)になてぃん
   し情(なさけ)どぅ頼(たぬ)む
情(なさき)ねん浮世(うちゆ)
   渡(わた)い苦(ぐ)りさ

 

 その他いくつもの歌詞があります。読んでみておわかりになると思いますが、すべて八・八・八・六の三十文字による琉歌形式になっており、実に見事に親の子供への愛情や人生の教訓を歌っています。小さな子供が自分たちで生み出したものとは考えられません。これは親から子供に与えられた教訓歌なのです。つまり、沖縄のわらべうたの代名詞にされている「てぃんさぐぬ花」ですが、分類上は、純粋な子供たちのうたとしては、扱えない一面があるということです。わらべうたの最も大切な「子供たちの中から自然発生的に生まれたうた」という原則にあてはまらないわけですが、わらべうたを広義に考えて「てぃんさぐぬ花」は、「わらべうたの周辺にあるうた」と考えます。
 「てぃんさぐぬ花」はホウセンカのことで、子供たちはこの花びらをマニキュアのように爪にぬり、楽しんでいました。実際に子供たちとやってみて下さい。

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