仲里 効(なかざと いさお) 作品 略歴 メッセージ 戻る

壁と窓、そして影の黙示
WALLS AND WINDOWS IN THE SHADOW OF THE APOCALYPSE

 窓。内と外の境界。閉ざすものでありながら同時に開く、そんなダブルバインドな二つの貌をもっている。矩形の枠から遠方への夢を紡いだ少年の時、窓に写し取られた己の影に見入るとき、通過者の刹那がそこにはある。
 壁。この世界とかの世界を隔てる内省の場。ヒトは壁に向かって己の内部の声を刻む。壁に書き込まれたさまざまな声の形象。歳月を経てなお残る記憶の流紋がそこにはある。  
 窓と壁。そこは声と眼差しが絡まり合い、重なり合うところなのだ。
 そして、沖縄とOKINAWAとオキナワ。幾つもの世替わりを生き、そのたびに境界を書き換えられてきた。沖縄という名はボーダーランドの言い換えともいえよう。この小さな島々の記憶と身体には複数の境界が印され、そして標されている。いわば沖縄というボーダーランドはその歴史と地勢において窓と壁である。だからそこには、アメリカや日本の影が写し込まれている、はずだ。
 窓の影、壁の図像。WALLS AND WINDOWS IN THE SHADOW OF THE APOCALYPSE。窓と壁が写し取った潜像や残像や倒像。時はゆるゆると日時計のように巡り、影は黙示する。

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