からじの結い方

 琉球舞踊を観る楽しみの一つに、舞踊によって変化する琉髪の美しさがある。

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カムロウ
 古典舞踊や組踊の女性は垂髪(カムロウ)といって(1)頭頂部(マチジ)に扇形からじを作り、(2)耳たぶの前に円形の側頭部(ハイ)を作るのが特徴である。(3)そして後の髪をうなじの部分でひとつにまとめて垂らし、(4)髪かざりを差す。

カタカシラ
 二才踊りでは、琉球士族男子の一般的な髪形である欹髻(カタカシラ)を結う。カタカシラは小さく結うほど上品とされ、髪の量を減らすため、「中ぞり」をした。(5)頭頂部より4cm程うしろに元結い(ムーティー)をし、(6)髪を時計回りに巻きつけアーチを作りピンで止める。(7)残りの毛先を小さめに巻きつけ、ネットで全体を包み(8)前後から簪(ジーファー)を差す。

カラジ
 雑踊りの女性一般にみられる沖縄髪(ウチナーカラジ)を見てみよう。大別すると首里結い・那覇結い・辻結い・田舎あん小結いに分けられ、身分の違いで頭頂部、側頭部、後髪の形が変化する。
 結い方の基本は、(9)後頭部を膨らませ、元結いの位置を決め、側頭部を出し、ムーティークンチ(元結いくくり)をする。入れ髪(イリガン)を加え、元結い部分を巻きつけ残った髪束を内側にねじる。(10)それを左手の親指でおさえ、右手は髪束に櫛を入れながら頭頂部にのせていく。(11)毛先をねじりの部分に入れて巻きつける。(12)最後に簪(ジーファー)で頭頂部の大きな輪(ゴー)を後方からさす。

 以上が琉球舞踊に見られる琉髪の主な結い方である。着付や小道具とともに琉舞の魅力をいっそう深めているのがこのウチナーカラジであり、踊りを観ながらカラジの結い上げ方に注意を払うのもおつな楽しみ方ではないだろうか。


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正面から見た図 後方から見た図 右側から見た図 左側から見た図
正面から見た図 後方から見た図 右側から見た図 左側から見た図
(1)カムロウ (2)カムロウ (3)カムロウ (4)カムロウ
(1)カムロウ (2)カムロウ (3)カムロウ (4)カムロウ
(5)カタカシラ (6)カタカシラ (7)カタカシラ (8)カタカシラ
(5)カタカシラ (6)カタカシラ (7)カタカシラ (8)カタカシラ
(9)カラジ (10)カラジ (11)カラジ (12)カラジ
(9)カラジ (10)カラジ (11)カラジ (12)カラジ

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写真:砂川敏彦