雑踊り
明治・大正・昭和

 廃藩によって職をなくした御冠船踊りの役者たちは、芝居小屋で組踊や舞踊をしばらく上演していた。仲毛時代から端道の初めにかけて、庶民の風俗に題材をもとめた軽快な雑踊り(ゾウウドゥイ)が誕生した。雑(ゾウ)とは、上海雑技団などの雑と同じ意味で使われ、これまでの古典舞踊のどの分類にも入らない踊りの総称である。「加那ヨー」「谷茶前」「浜千鳥」「むんじゅる」「花風」などの姉小舞い(アングァーモーイ)が有名で当時の娘達の衣裳そのままに踊られている。


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加那ヨー天川 花風 浜千鳥 取納奉行
加那ヨー天川
(カナーヨーアマカー)
花風
(ハナフウ)
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浜千鳥
(ハマチドリ)
取納奉行
(スヌブジョー)
むんじゅる 松竹梅鶴亀 仲里節 汀間当
むんじゅる
(ムンジュル)
松竹梅鶴亀
(ショウチクバイツルカメ)
仲里節
(ナカザトブシ)
汀間当
(ティーマートゥー)
金細工 鳩間節 谷茶前 貫花
金細工
(カンゼークー)
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鳩間節
(ハトゥマブシ)
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谷茶前
(タンチャメー)
movie
貫花
(ヌチバナ)
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湊くり節 加那ヨー    
湊くり節
(ミナトクリブシ)
加那ヨー
(カナーヨー)
   

コラム 組踊りは琉球舞踊?

 琉球舞踊のなかの古典舞踊(宮廷舞踊)である老人踊り、若衆踊り、女踊りと組踊を合わせて御冠船踊りという。ともに中国からの冊封使をもてなす宴において上演された。
 宮廷楽劇である組踊は、踊奉行に任命された玉城朝薫によって創始された。舞踊を劇中に取り入れながら、独特な節回しで唱えられる台詞と、情景や人物の心理描写を受け持つ歌・三線が絶妙にからみあい、中国や日本の影響を受けながらもそのどちら風でもない琉球オリジナルの国劇が誕生した。
 組踊のなかで踊られる舞踊が抜粋され独立した舞踊(組踊「万歳敵討」と高平良万歳、組踊「忠臣身替の巻」と波平大主道行口説など)や組踊と関係の深い舞踊(組踊「大川敵討」と女こてい節)など琉球舞踊イコール組踊ではないが、琉球舞踊の特異な様式美が組踊になくてはならない土台となっている。

コラムイメージ

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写真:砂川敏彦