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古典女踊り「諸屯」(シュドゥン)はギリギリにそぎ落された所作で、ありったけの「思い」を表現する。小道具を持たない手踊りは、房指輪(フサイービナギー)が手の表情を唯一きわだたせるのみ。一曲目の「仲間節」では前進し回って帰る動きばかり。舞台が道路のように一直線に伸びていたら、そのまま歩き続けるだろう。二曲目「諸屯節」の「枕並べたる」で「三角目付」(サンカクミィジィチ)と呼ばれる特殊な目線の技術がある。逆三角形に視線を中空に移動させ、追憶の夢のつれなさ、せつなさが心情表現される。うっかりすると見落としてしまいそうな目の動きだが、古典女踊りの魅力を象徴する表現技法である。また、「枕手」、「抱き手」などの特殊技法も見のがせない。 |
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「伊野波節」(ヌファブシ)の歌持ち(前奏)とともに花笠を手にした女が舞台中央まで角切りに歩み出る。待ち合わせの場所に来ない男に女性の影を感じ、恨めしく情けなく思いながらも、諦めきれずに男のもとに通いつづける女心を花笠の動きにたくし表現する。「よそに思なちやめ」(よその娘に心を引かれたのでしょうか)で「よそにの手」と「ちゃーみの手」があり、花笠に込められた女の思いの深さがピークに達する。 |
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写真:砂川敏彦 |