名護市の市街地から西方に目を移すと、本部半島のつけねに広がる丘陵(きゅうりょう)地域があります。この丘陵地で一番高い山頂が嘉津宇岳(かつうだけ)[451m]です。ここは嘉津宇岳や安和岳、八重岳の頂上を結んで沖縄県指定の天然保護区域《天然記念物》や自然環境保全地域にもなっています。
 ここには森林性の留鳥(りゅうちょう)であるカラスバト、シジュウカラ、リュウキュウサンショウクイ、ツミ、ズアカアオバトなどが生息し、夜間観察ではアオバズクやコノハズク、オオコノハズクなどが林道沿いで見られることもあります。
 夏場にはアカショウビンやサンコウチョウなどの夏鳥が飛来してきて、ヒナを育てます。秋口の9月になると夏鳥(なつどり)と入れかわって「白露の渡り」で知られるアカハラダカが姿を見せ、雄大なタカ渡りが見られます。また同じ時期に立ち寄るエソビタキ、ホトトギスなども林道沿いで見かけることもあります。冬季にはシロハラ、アオジなどが飛来し、ここで越冬します。
 嘉津宇岳に至るルートは、名護市の屋部を過ぎるあたりに嘉津宇岳入り口の案内板がありますので、ここから勝山を経て、嘉津宇岳中腹の展望台まで車でいけます。頂上にはここから歩いて30分ほどかかります。
秋季
 那覇からは、名護で乗り換え本部循環線勝山入り口バス停下車30分くらいで勝山まで行けます。ここから嘉津宇岳中腹の展望台までは坂を上って1時間近くかかりますので、車を利用した方が便利でしょう。
 本部町側にある桜まつりで有名な八重岳頂上近くや、八重岳入口近くの伊野波にある田イモ栽培地域などもよい探鳥地です。勝山入口近くの屋部川でも水辺の鳥が見られます。
 アカハラダカの観察には、9月初旬から下旬にかけてのよく晴れた日の早朝の7時から9時頃がねらい目です。展望台付近や嘉津宇岳頂上でタカを待ちます。
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