天然記念物マップ


 天然記念物は、動物、植物、地質鉱物のうち学術的に貴重で、かつその地域の自然を記念するものが法や条例に基づき指定されたものをいう。これらのなかには、動物の生息地や繁殖地及び渡来地、植物の自生地や特異な自然現象の生じている土地なども含まれる。

 沖縄県内の天然記念物は、平成11年10月現在で国指定44件、県指定53件、市町村指定104件がある。これらを分類すると国指定の場合は、動物22件、植物18件、地質鉱物1件、天然保護区域3件、県指定の場合は動物16件、植物28件、地質鉱物7件、天然保護区域2件、また、市町村指定は、動物5件、植物81件、地質鉱物16件、天然保護区域2件の計104件である。

 沖縄県の天然記念物は、戦前にケラマジカが指定されたということであるが、その資料は今のところ手元にない。戦後、昭和25年国において文化財保護法が制定され、本県以外においてはその法律に基づいての保護がなされた。

 本県では、その4年後の昭和29年に琉球政府文化財保護委員会が発足し、翌年1月から指定がはじまった。昭和30年には、ノグチゲラ、ケラマジカ、ジュゴン、その他6件の計9件が指定され、本格的な文化財、天然記念物の保護行政がスタートした。そして、昭和47年5月15日の日本復帰までに数多くの指定がなされた。 その過程で、昭和40年のイリオモテヤマネコの発見およびその指定や、「今帰仁街道の琉球松並木」がマツクイムシ等の被害にあって昭和43年に指定解除になるものもあった。結局、復帰前の指定件数は、動物8件、植物32件、地質鉱物3件の計43件であった。

 これら43件のうち復帰時に国指定になったものは21件を数え、その中には名称変更されたものもあった。その後、新たに国や県、市町村指定になったもの、県から国へ、市町村から県や国の指定になったものがあり、前述したように現在では国指定44件、県指定53件、市町村指定104件に至っている。

 本県の所在する琉球列島は、その昔、アジア大陸の一部であった時代もあったが、幾たびかの地殻変動を経て現在の孤状列島になったといわれている。本県は、亜熱帯性海洋気候のもと、地史的にも特異な多くの島から成り立っている。これらの自然の複雑な相互作用により、わが国でも他に類をみない自然環境がつくりだされた。その結果、特殊な生物を生み出すことになった。このような自然の一部が天然記念物として指定されているのが現況である。

※この「沖縄天然記念物マップ」では、上記の県内の天然記念物の中から60件を選びだし掲載しております。
※市町村指定の指定数は、平成11年5月1日現在のものです。

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