解説
月ぬ美しゃ(八重山・石垣市)

 月を歌ったうた、また子守唄としては、沖縄のわらべうたの中でも、名曲の一つに数えられるうたです。そして、八重山の代表的な民謡「トゥバラーマ」の原歌でもあります。八重山の各島々には、必ずと言って
いい程この「月ぬ美しゃ」のうたがあり、それぞれの島の特色を生かして歌い継がれています。ここで取りあげた歌詞と旋律は石垣のもので、一応スタンダードと考えています。

 
月

 私が現地のお年寄りから採集したものでは、もっと素朴な歌い方ですが、今回子供たちに歌いやすく原曲の持ち味を壊さないよう工夫して作曲しました。歌いなれると味わいがあり、だんだん親しみを持ってくるでしょう。子供たちにもしっかりと覚えさせてください。
 なお、次の歌を続けて歌ってみるのもよいかと思います。

寺(てぃら)ぬ大礼(うふらん)が    寺の大礼に
いーちゅ花(ばな)           絹糸花
黄金(くがに)花            黄金花が
さーかりょーり             咲いている
ホーイ チョーガ            ホーイ チョーガ

 ここでいう寺は、八重山石垣市にある桃林寺。絹糸が黄金色の対語に使われていますので、銀色に輝くさまをいったのだと思います。お寺の大きな聯(れん)に、金銀の蓮の花が、描いてあったのでしょう。何でもない表現のようですが、子供のうたには、大人ではとうてい言葉に出来ない表現があるようです。
(池宮正治 記)

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