解説
うふむらうどぅん(沖縄本島・首里)

 子守唄の中で最もポピュラーなもので、沖縄全島的に流布しています.
 沖縄の子守唄は、大きく2つに分類できると思います。なかなか寝つかない赤ん坊に音(ね)を上げて、怖いお話を聞かせて何とか寝かしつけようとするもの。もう一つは、赤ん坊の成長発展を願ったやさしい歌詞のうた。前者の代表的なのがこの「大村御殿」で、似たものに竹富島の「コネマぬ泣くか」があります。後者の代表が宮古島の「ばんがむり」や多良間島の「ばがむらぎ」です。量的には後者のものが圧倒的に多くなっています。それは、「子守」という労働のとらえかたや制度にもよると思います。本土では、貧しい家の子が家計を助けるために、「子守」という労働をさせられる。そのため「五木の子守唄」のように自分の悲しい境遇を歌った子守唄や、怖い内容の子守唄が多く生まれるのではないでしょうか。沖縄でも勿論同じような子守のあり方もあったでしょうが、むしろ人間の結び付きを大切にした「守姉(むりあに)」の制度があったため、自分のお守りする赤ん坊の成長発展を歌った子守唄が多いのではないかと思います。

 
民家

 さて「大村御殿」は、歌詞は大変ぶっそうな内容ですが、うたは美しく優しい旋律で子供への愛情に満ちていて、沖縄人(うちなんちゅ)の心の優しさがよく表れています。それは、心の優しさと同時に、赤ん坊を寝かせるという作業を伴ったうたであるため、赤ん坊が寝つき易いリズムにもなっているわけです。
 ところで「大村御殿」の歌詞は、「黒金座主(くるがにざーす)」という伝説から生まれていますので、その話を前のページに紹介しておきます。

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