解説
ふゆべまー(八重山・竹富島)

 昔からのわらべうたには「からだあそぴ」のうたが数多く残っています。人間が生まれて最初に出会う「あそび」は「からだあそび」から始まるようです。
 たとえば、みなさんがよく知っている「いない、いないバァー」という赤ちゃんをあやす時のうたがありますが、これなどは大体の人が体験してきた「からだあそぴ」の中の「あそばせうた」の代表的なものの一つです。

 
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 両手で顔をかくして「いない、いない、いない」と言って、急に両手をはずし顔を出し「バァー」と大声で言いますと、大体の赤ん坊は喜ぶもので、そのうち、赤ちゃんも真似して自分でやるようになったりします。
 「ふーゆべまー」は「親指さんに、人差し指さん、背の高い中指さんに、かんざしを差す指に、小ガニのように小さな小指さん、お母さんは井戸で、ジョロジョロジョロとお洗濯に精を出しているよ」と言って、子供をあやしながら遊ばす「あそばせうた」の一種です。
 「人指し指」を「中指」と言うのは、昔からの言い伝えです。それは、人間が何か物をつかむ時に、親指・人指し指・中指の3本の指でしっかりとつかみます。親指と人指し指だけでつかんだときは不安定で、落としたり、すぐ人にとられたりしてしまいます。ところが3本指でつかめば安定しています。ですからこの3本の指は、昔から大切な指とされ、その3本の指の真中が人指し指です。そこで人指し指のことを「中指」と言うそうです。

☆歌い方
 竹富島で生まれたこのうたは遊戯を伴う純粋なわらべうたです。「指あそび」のうたとしてだけでなく、「あんまーかいおり、ジョロジョロジョロ」の後半部分は手・腕・足や全身を使った「からだあそび」へと発展していることはユニークであり、興味のあるところです。旋律型は、歌う人によって多少違いますが、一般的な歌い方を採用しました。子供たちは動作にとらわれて、うたを忘れがちですので、はじめにうたを充分に教えてから、遊戯に入って下さい。とくに後半部分から、ジョロジョロジョロにかけては元気よく歌うことにつとめてほしいものです。

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