モノクロに惹かれ

撮影:神谷堪正 |
(前略)ある時期は「ナハカラーフォトクラブ」や「沖縄二科」に所属してカラーに凝った時代もありましたが、モノクロームで84年と88年に作品『いぐさ』シリーズが相次いで沖展準会員賞を受賞してモノクロームの内面的な奥深さに惹かれ、それからモノクロームでの創作活動が多くなりました。もともと私のモノクロームへのこだわりは、写真との出会いが白黒写真の時代だったせいでもありますが、モノクロームの魅力である中間調の描写力に引かれ、光の捉え方や豊富なグラデーションによって画面の中の色に対するイマジネーションを豊かにし、対象の本質を見つめるという内面的な奥深さを感じさせる力があり、日本古来の水墨画に通じる美意識がそのままモノクロームの世界につながるからであります。
写真集『陰翳礼讃』のあとがきから
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