はじめに(染織について)

 ここでは染織用語をいくつか説明したいと思います。
 このサイトで今回とりあげた染織物は12品目あります。各染織物の特徴は糸であったり、染めであったり、織りであったりします。
 はじめに、糸について見てみましょう。

1 糸(糸はなにから)        

 糸には絹※写真1、綿※写真2、麻 ※写真3、芭蕉※写真4などがあります。
 絹は蚕(かいこ)の繭(まゆ)をつむいで作り、綿は植物の綿花から、麻は植物の苧麻(ちょま)から、芭蕉は糸芭蕉から取ります。
 歴史的に麻と芭蕉が古く、綿と絹は17世紀ごろ導入されました。

絹糸 綿糸 麻糸 芭蕉と芭蕉の糸
八重山上布

 上布※写真5は身体に馴染みやすく通気性に富み、三世代も着られるという丈夫なものです。
 芭蕉布※写真6は軽くてさらりとした肌触りが特徴です。夏の長い沖縄、昔は身分に関係なく愛用されました。
 久米島紬※写真7は細い絹糸を用いたこともあり、身に着ける人の体を柔らかく包みこみ、優しい感触があります。

芭蕉布
2 染め(なにで染めるか)        

 糸は基本的に植物で染めます(草木染め)。葉や樹皮、花びらなど、色素がより多く取れるところを煮出して染料にします。
 例えばフクギで染めると黄色に※写真7、琉球藍で染めると藍色に※写真8、テチカ(車輪梅)で染めると茶色に※写真9、紅露(クール)では赤茶色※写真10となります。

福木で染める 琉球藍で染める テチカで染める クールで染める

関連ページ琉球藍
3 織り(どう織るか)    

 織るということは経(たて)糸と緯(よこ)糸を組み合わせて、機(はた)※写真11にかけて布を作ることをいいます。
 手投げ杼(ひ)※写真12を使い緯糸を経糸に通して織っていきます。
 織りには平織(ひらおリ)、紋織(もんおり)というものがあります。

機にかける 手投げ杼

《平織》ひらおり
 経糸と緯糸を交互に交差させて織る、シンプルで色や模様を楽しめる組織。久米島紬など。

《紋織》もんおり
 ベースとなる布と異なる組織や色糸を組み合わせ、模様を織り出した織物。読谷山花織、首里織など。

久米島紬 首里織
4 染織用語集

 最後に染織の技法についての用語をいくつかあげてみましょう。

《絣》かすり
 部分的に染めた織り糸を用いて、いろいろな模様をつくり、輪郭が馴染んでいくようなかすった模様を織り出した織物。またはその模様をいいます。

《花織》はなおり
 首里・読谷(よみたん)・与那国島・竹富島などで織られる紋織物(もんおりもの)。絣、格子、縞の中に小花模様や風車模様などを浮き織りにしたもの。

《紬》つむぎ
 繭または真綿からつむいだ絹糸で織った絹織物。紬糸の節が織りに表れ、ざっくりとした風合をもっています。

《上布》じょうふ
 苧麻を手績み(てうみ)した糸で織られた薄手の麻織物です。

《ミンサー》
 綿糸で織られた絣技法(かすりぎほう)による細帯です。

与那国花織
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