琉球藍イメージ画像
琉球藍

沖縄の代表的な染料です。山藍(やまあい)と呼ばれるキツネノマゴ科に属する琉球藍葉(りゅうきゅうあいば)を水に浸し、泥状態に沈殿させて作られます。
製法の起源はインドとされ、鮮やかな紫紺に発色します。藍は県内の染織に使われるだけでなく、全国的に人気を集めています。
かつては沖縄本島北部を中心に生産されていましたが、現在は伊野波盛正(いのはせいしょう)氏だけが国の選定保存技術者として認定されています。

琉球藍の主要製造地の地図 琉球藍の紹介写真 琉球藍の紹介写真 琉球藍の紹介写真 琉球藍の紹介写真 左の画像をクリックすると別ウインドウで表示します
琉球藍の紹介写真 琉球藍の紹介写真 琉球藍の紹介写真 琉球藍の紹介写真
琉球藍を作り続けた人 写真協力もとぶ写真館川上なみ子
 

 琉球藍について伊野波盛正さんにお訊きしたいと思い、工場をお訪ねしました。
 伊野波さんは藍造りをタンカン(蜜柑の一種)と兼業で行い、お訪ねした1月はタンカンの収穫時期で忙しく、あいにく不在でしたが、長年ご一緒に作業をしていらっしゃる 奥様からお話を伺う事が出来ました。
 藍造りは盛正さんで4代目、幼い頃からお爺さんに製造の手ほどきを厳しくしこまれたとのこと。昔は何軒かがサトウキビや養豚をしながら藍造りをしていたそうで、伊野波家も一年を通して暇なことはなく、また嫁入り前は藍など育てたこともないので苦労をした、とにこやかにお話下さいました。
 復帰の年(1972年)に現在の工場の機材を県が出資して規模が大きくなり、毎年藍造りの時期にはボランティアが来るそうです。また後継者は従兄弟にあたる盛勝氏に決まり、「何も心配はない」と答えて下さいました。

 藍が発酵する時に独特の香りがしますが、見学やお手伝いに来てくれる方が「臭い」と言ったら、帰ってもうらうようにしているとの事。藍の発酵を「カバサン(方言で“薫る”の意)」と言って、好い薫りに感じないとダメさ、と一瞬厳しい顔つきになりました。作業を共にする方に、伊野波さんが言い聞かせている事だそうです。

 最後に「タンカンと藍、どちらが難しいですか?」とお尋ねしましたら、「どちらも同じ、難しい」とのお返事。伊野波さんにとって何かを育て、みんなに愛されるものを作るのは全て同じなのだと感じ、本部町伊豆味を後にしました。

文・花城 郁子

伊野波さんの工房前の琉球藍