1-2. 移民の世紀

 沖縄の移民は戦前、戦後を通じて盛んに行われました。日本国内でも有数の移民県です。たとえば、戦前の1899年(明治32)から1941年(昭和16)までの43年間の移民統計をみると、沖縄県の出移民数は7万2,227人です。これは全国65万5,661人の11パーセントを占めます。
 ちなみにトップの広島県が9万6,848人で全体の14.8パーセントを示し、沖縄県の出移民数は広島県についで2位です。
 また、1940年(昭和15)の県民人口で海外に住む移民人口を割った出移民率は、10パーセントにおよび、沖縄県は抜きん出て1位になっています。これは、全国平均の9.68倍で、2位の熊本県の2倍以上にもなっています。今、沖縄県移民は約36万人といわれ、日系人約260万人の14パーセント近くにもなります。
 なぜ、沖縄移民は盛んだったのでしょう。研究者はいろいろ挙げています。経済問題、地理的条件、独自の歴史や県民性など多くの要因が関係しているようです。
 外国での戦争などの社会情勢の変化のなか経済活動にとどまらず故郷の文化の花を咲かせつづけました。当時の県経済を支える送金や戦後沖縄の復興に手を差し伸べたことも沖縄県民のバイタリティーを感じさせるものです。これらの多彩な移民の歴史は、沖縄県の移民を知るうえでより興味深くしています。
 さらに興味の度合いを高めてくれるのは初めてのハワイ移民から100年を過ぎた今、移民が長年蓄積したさまざな財産を未来へ生かしていこうという気運が出始めていることです。世界の沖縄県系移民が一同に会して多角的な交流をする「世界のウチナーンチュ大会」やビジネス・文化・教育交流と相互の親睦を図る「WUB」(ワールドワイド・ウチナーンチュ・ビジネス・アソシエーション)などの動きがそうです。
 沖縄移民は今、一世の苦難の歴史から二世、三世の時代を経て国際的な交流と平和の時代への役割を担う遺産となろうとしています。移民の世紀を追体験し、これからの課題を考えることは「新しい国際交流」への橋渡しになることでしょう。

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