沖縄は古くは琉球と呼ばれた。琉球から沖縄に名称が変わったのは、廃藩置県(1879年)によって沖縄県に設置されてからである。
 沖縄に人が住み始めたのは、数万年前にさかのぼる。長い歴史のある沖縄の島々には、小さいながらもいろいろなことがあった。ここで沖縄の歴史を分かりやすくするために五つの時代にわけることができる。
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 まず、数万年前から12世紀ころまでを先史時代という。この頃は、周辺のアジアの国々などの影響を受けながら沖縄の基盤づくりをした。
 それから、沖縄の島々の政治的な統一の気運がたかまり、1429年には独自の国家「琉球王国」が成立する。その頃、中国やアジアと盛んに交流を始め、見聞しながら様々な文化を育んでいった。しかし、1609年の薩摩の軍事行動により、琉球王国は日本の将軍や薩摩の従属支配のもとに置かれることになる。ここまでを琉球王国の前半期として、古琉球の時代という。
 琉球王国は幕藩体制のもと、体制を維持していくことはできたが、従属ということには変わりなかった。それでも、その頃琉球の文化・芸能は大きく花開いた。この時代は、近世琉球といって琉球王国の後半期として考えられる。
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  やがて、日本が封建国家から近代国家へ転換することで、琉球王国もおのずと廃止された。琉球は1879年に沖縄県になり、「近代沖縄」の時代へと進んだのである。この時代は沖縄県も決して豊かではなかったため、多くの海外移民を送りだした。また、第二次世界大戦が勃発し、沖縄は激しい地上戦の場となった。これを沖縄戦という。そして、日本が敗戦することにより、沖縄は日本社会から切り離され、アメリカの直接統治下に置かれることになる。
戦後沖縄の時代の始まりである。この頃、アメリカ軍は広大な基地建設をスタートさせる。アメリカ統治は27年間に及び、その間、住民は日本社会に復帰することを要求し1972年には実現することになった。それから、現在に至っているのである。戦後沖縄の時代は、アメリカ統治と復帰後の二つの時代を総称して呼んでいる。
 沖縄は段階的に日本社会に編成されるという歴史的性格を帯びたことから、日本の他の地域には例がない県である。これは、沖縄の地域的特性をきわだたせている。

◆写真提供: 沖縄県立博物館、 社会福祉法人 沖縄コロニー