沖縄の「むかしばなし」は、気候、風土につつまれ、育まれてきた先祖たちの息吹きを身近に感じさせてくれます。
 毎年行われてきた「年中行事」にも、どうして行われるようになったのか、誰にもわかりやすい理由が語られています。
  例えば、今やウチナーファンなら踊れるという人もいる「エイサー」ですが、その代表的な曲目である「仲順流れ(ちゅんじゅんながれ)」には、親孝行な息子のことが語られています。「エイサー」といえばお盆。祖先を大切にしてきたウチナーンチュの心が見えかくれしています。
  風土といえば、厳しい自然条件にあった先島地方には恐ろしいマラリアという病気がまん延していました。そのことは「野底マーぺー」の物語にうかがえます。実はマラリアが撲滅されてからまだ40年もたっていません。
  また、かつて「琉球王国」として独立していた時代のお話には、よく王様が登場していますが、そのお城につかえていたすぐれた人たちのお話もあります。ただ偉いというだけではなく、いかに知恵者だっかたを伝える、いわゆる「とんち話し」に仕立ててあるお話が「渡嘉敷ペークー」です。
  「琉球王国」は中国や日本、朝鮮、東南アジアなどと盛んに交易することで、富を築きあげました。そのため、船にまつわるお話も少なくありません。「ニワトリとムカデとりゅう」はそのような時代を背景としたお話しです。
  さて、日本の各地には「羽衣伝説」があり、静岡県清水市にある「三保の松原」が有名です。これと同様に沖縄にも「羽衣伝説」があり、独特な楽劇として知られる「組踊」にも「銘苅子(メカルシー)」があります。母と子の切ない別れのシーンが胸を打ちます。みなさんの地域に伝えられている物語とくらべてみて下さい。
  ここに紹介したお話は、たくさんある中からほんの少しだけピックアップしたものに過ぎません。それでもマウスをクリックする度に、あなたもソーウチナーンチュ(根っからの、まるっきりの沖縄人)に近付いているにちがいありません。
ふるづか だるま