キジムナーは沖縄を代表するようかいとして知られ、キャラクターグッズや、シンボルとして親しまれています。愛すべき沖縄ようかい界のアイドルといえるかもしれません。また、沖縄本島北部ではセーマ(今帰仁)、ブナガヤ(大宜味)という名前で伝えられ、奄美大島にはケンムンというキジムナーと似たようかいもいます。
 キジムナーの姿は、この物語にもあるように、赤い顔(アカジラー)、赤い髪(アカガンター)、小さな子どもで、古い大木の穴の中に住んでいます。好きなものは魚の目で、夜の海や山の中をたいまつを持って歩き、寝ている人の胸を押さえつけたりするといういたずらもします。今でも、夜キジムナーにおそわれたという人がいるでしょう。
 でも、愛すべきキャラクターとして考えているキジムナーも、本当はおそろしいようかいとして伝えられています。最初は魚がたくさん取れて面白がっていた人間が、キジムナーの誘いに疲れてきて、キジムナーの嫌いなおならをしたり、タコを投げつけたり、夜が明けたと一番鳥の真似をしたりして追い払ったり、ひどいときにはキジムナーの住まいである大木を焼き払って追い払いますが、そのあと、キジムナーによって目をつぶされたり、村全体が魚が取れなくなったりという仕返しをされるのです。
 仲良くなって、毎日楽しく遊んでいたのに、人間の勝手な都合で追い払ってしまうことはよいことではありません。このように、キジムナーの物語では自分勝手なことをしてはいけないと教えてくれています。